ファインダーの中には何が見える

思いついたことをつらつらと書きます。

江川達也「全身漫画家」

人気漫画家江川達也。彼の徹底したマーケティング力は凄い。何が売れるのかを細かく分析し、徹底して読者に求められている作品を描く。この「マーケティングの視点からの創作」は江川氏の師匠にあたる本宮ひろ志の影響も少なからずあるとのこと。
ただ、面白いと思ったのは、読者が求めている筋書きで展開している序盤は読者の支持も大きいのだけれど、終盤になると作者の思考に読者が着いていけなくなって、作品の結末に納得できない読者からのクレームが結構あるという点。最初は読者の安定した支持を得るために読者が読みたいものを描くが、いったん読者を獲得すると、作者が本当に描きたいものを描いてしまうために、その作品の結末を理解できない読者が大量に発生してしまう、ということなのだろう。

“全身漫画”家 (光文社新書)

“全身漫画”家 (光文社新書)