ファインダーの中には何が見える

思いついたことをつらつらと書きます。

澁澤龍彦「犬狼都市」

久しぶりに澁澤を読んだ。
学生時代読んだ「高岳親王航海記」以来だ。
澁澤はマルキ・ド・サドの「悪徳の栄え」の翻訳が発端となった、いわゆる「サド裁判
が有名だが、小説も書いている。この「犬狼都市」は初期の代表作といえる。

現実と幻想が入り乱れた澁澤ワールドを味わうことができたけど、短編でなく、長編であっ
たらもっとどっぷり浸かることができたのに。でも、久しぶりに小説の残りページが少なく
なっていくのを惜しいと思った。
澁澤のエッセイを読む際にも感じるのだが、彼の文章にはある種の「品」があって
そのあたり、澁澤栄一の流れを汲む彼の血の成せる技かなとも思ったりする。これって、努
力して身に付くことではないのかなぁ。


また、今回読んだ福武文庫版には巻末に、先日亡くなった倉橋由美子の「澁澤龍彦論」がついて
いて、すごくお得だなぁと思った。