ファインダーの中には何が見える

思いついたことをつらつらと書きます。

文學界新人賞作品「最後のうるう年」

二瓶哲也さんの作品を読んだ。主人公は、小説家を目指したことがある中年の男。さまざまな職業を経て、今、印刷会社に勤めている。その彼が昔のことを思い出す。


男は風俗業界に入り、デリヘルの送迎を担当する。男はそんな自分を、他の人間とは異なる「カッコイイ」人間だと思う。まあ、中二病なわけで、その後も、堅気の仕事に就かない。


作中に、某サリン事件の描写があるが、そのほかに時代を感じさせる所がほとんどない。僕個人的には、そのへんを読みたかったなあと思う。ただおもしろく読めた。僕は、こういう自省的な小説が好きなんだな。