ファインダーの中には何が見える

思いついたことをつらつらと書きます。

プルーストリー「夜の来訪者」

いいから、とにかく読めっ!
と言われ続けたのに、なかなか読むチャンスがなかったこの戯曲。


戯曲形式だからってだけじゃなく、物語にすいすい入り込めたので
1時間で読み終わった。
そして、読み終わって、
こんなことだったら早いとこ読んでおくんだったと後悔した。

舞台は裕福な実業家の家庭、娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れて、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、全員がそのことに深く関わっていることを暴いてゆく……。
岩波文庫 表紙あらすじより引用)

家族ひとりひとりの仮面がひとつひとつ剥がされていく。その過程が、また次のシーンの伏線となっていく。読者が「あ、これって、あの台詞が伏線だったのか」と理解するタイミングと登場人物が気づくタイミングに大きな乖離がなく、読んでいてストレスがたまりにくい。ただ、その分、どうだろ、せっかくのラストシーンの威力が半減したような気がする。ま、もちろん、舞台で観たらまるっきり違うんだろうけど。で、エンターテイメントとしてはとても楽しめた。

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)