宮沢章夫「サーチエンジン・システムクラッシュ」
ずっと読みたかったけどなかなか読めなくてずっと積んでいた本。読了。
池袋の街をさまよう.新宿でも渋谷でもなく、池袋。不安の空気が漂う街。
大学時代のゼミのクラスメイトが殺人を犯してしまう。いや、そんなことはどうでもよくて、ゼミの担当教授の名前がわからなくなる。「ウネニシ」なのか「マダラメ」なのだろうか。いやいや、そんなこともどうでもよくて、そもそも本当にゼミは存在したのだろうか。赤いチョークをたどっていく。目的の店はみつからない。いや、そんなものは本当にあるのだろうか。さまざまな事象が不安を煽る。そしてそれらの存在そのものが怪しくなってくる。「この主人公はなぜ赤いチョークを追いかけるんだ?」という疑問もどうでもよくなってくる。
改行の少ない文章で妄想を事実として淡々と記すこの小説は、すいすいと読めてしまう作品だけれども、読み終わった後、再読したくなる小説だ。どこか読み落とした箇所がないだろうかと不安になるからかな、と思う。
- 作者: 宮沢章夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/02
- メディア: 単行本
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