ファインダーの中には何が見える

思いついたことをつらつらと書きます。

宮沢章夫「サーチエンジン・システムクラッシュ」

ずっと読みたかったけどなかなか読めなくてずっと積んでいた本。読了。
池袋の街をさまよう.新宿でも渋谷でもなく、池袋。不安の空気が漂う街。
大学時代のゼミのクラスメイトが殺人を犯してしまう。いや、そんなことはどうでもよくて、ゼミの担当教授の名前がわからなくなる。「ウネニシ」なのか「マダラメ」なのだろうか。いやいや、そんなこともどうでもよくて、そもそも本当にゼミは存在したのだろうか。赤いチョークをたどっていく。目的の店はみつからない。いや、そんなものは本当にあるのだろうか。さまざまな事象が不安を煽る。そしてそれらの存在そのものが怪しくなってくる。「この主人公はなぜ赤いチョークを追いかけるんだ?」という疑問もどうでもよくなってくる。


改行の少ない文章で妄想を事実として淡々と記すこの小説は、すいすいと読めてしまう作品だけれども、読み終わった後、再読したくなる小説だ。どこか読み落とした箇所がないだろうかと不安になるからかな、と思う。

サーチエンジン・システムクラッシュ

サーチエンジン・システムクラッシュ