珈琲館で

朝、500円のモーニングセットを食べていたところ、耳に入ってきた。

店内は8割方埋まっていて、年齢層はかなり高く、のんびりした空気が満ちていた。最近の僕はこうやって、週末の朝はここで珈琲を飲みながらスポーツ紙を読むのが通例になっているのだ。何気ないこんな時間が何ものにも換えられない大切なものになっていて、「今日も頑張るぞー」と心の中で吠える時間でもあった。

「●●の親分がムショから明日出て来る云々」
声の方をそっと何気ない素振りで振り返る。上下の白いジャージを着た60歳ちょいくらいの角刈りのおっさん。そしてその向かいには同じく黒いジャージを着た小さな禿げたおっさん。テーブルの上には僕と同じようにモーニング。
日常の中の非日常。

僕はあわててスポーツ紙に目を落とす。昨夜のWBCの記事。長野と坂本、ふたりのG選手が活躍したと。そういえば、原監督と暴力団関係者の話はどうなったんだろう。