ファインダーの中には何が見える

思いついたことをつらつらと書きます。

恋愛信号

昔、バイトをしていたコンビニで毎日、店内に流れていた
曲「彼女の友達」。
自分の彼女の友達と両思いになってしまった男の子の
心の葛藤を歌った曲かな。これを歌っていたのが
「恋愛信号」。


深夜、ほとんど人通りのない郊外のコンビニエンスストア
で作業をしていると頭の中を様々な妄想が走り抜けていく
ことがある。

さっき弁当を買って帰った中年の男女二人組は、絶対夫婦
じゃないよな〜。女の肩にまわした男の腕は絶対不倫の腕だ。

とか

あ、今の女性客、すっげー色っぽいよなぁー。
クラブのホステスかな。ちょうど仕事帰りの時間だなぁ。
お、食パン買って行くの?え、牛乳も?
ていうことは、あれか、ウチに帰ると子供が待ってるな、き
っと。そしてこのパンと牛乳は子供の朝ごはんだ。でも大変
だなぁこんな夜遅くに帰っても子供のために早く起きなきゃい
けないんだ。でも、生活のために夜のお仕事は辞められないし。
旦那とはいつ離婚したのかな。なんだったら
僕と結婚しないかな。この女性、結構好みだったりする。
あ、いかんいかん、俺はただのフリーターではないか!

とか

この学生っぽい男、毎日、エロ本を買って行くなぁ。
俺の記憶だと、これまでに合計1,212冊のエロ本を買っ
て帰ってるから、こいつの部屋はきっとエロ本だらけだなぁ。
彼女がそんな部屋を見たらどう思うかな。きっと怒るか呆れる
かどちらかだなぁ。だって部屋でひとり毎晩エロ本を見て、ニ
タニタしているんだもの。あ、っていうか、こいつに彼女がい
る訳ないか。毎日着実にエロ本の蔵書が増えているし、顔もグ
レート義太夫みたいだし。よかった、俺はこんなんじゃなくて。


「あ、いらっしゃいませ。」
すっげーかわいいじゃん、今入って来た子!
めちゃくちゃタイプだよ。どうしよ、声かけようかな。こんな
かわいい子はめったにいないぞ。あれ、こっち来る。なに、な
んで?俺の知り合い?前、合コンしたことあるっけ?
それより義太夫、エロ本買ったらさっさと帰れよ。あのかわい
い子がこっちに来づらいだろ。あ、かわいい子が来た。

「待った?」
ううん、全然待ってないよ。声もかわいいよ。
っていうか、誰に言ってるの?
「今、来たところ。」
ん?義太夫?今、お前が答えた?
「そっか、よかったぁ。じゃあ。早く行こうよ。」
女の子はかわいい声でそういうと、義太夫の毛深い腕に白くて
細い腕を絡ませて店から出て行った。

そして、僕の手には義太夫に渡し忘れたエロ本のおつりが32円。
「あ、お客さん、おつりです。おつり!」


と、アホな妄想を繰り広げているときに店内スピーカーから流
れてきたのが恋愛信号の「彼女の友達」。
好きになってはいけないふたりが、好きになっちゃう歌。でも、好き
になったんだから仕方ないじゃん!
と開き直ることが出来ればなぁと。
当時、この曲を聴いて、真面目に恋愛するぞと思ったものです。

彼女の友達

彼女の友達