ファインダーの中には何が見える

思いついたことをつらつらと書きます。

後藤正治著『スカウト』

絶版になっているらしく、近くの本屋では入手できず、アマゾンのマーケットプレイスにて購入。
1日で読んでしまう。


広島カープ、大洋、オリックスブルーウェーブ、日ハムでスカウトを務めた木庭教氏を追っかけている。このなかでなんと言っても、球団創立当初の広島カープでのスカウティング話が面白し。球場前にカンパ箱を設置して、なんとか選手への給料を払う。
そんな状況だから、ドラフト導入前の自由競争時代、巨人、阪神などの金持ち球団に勝つ為には足で、誰も見つけていない原石を見つけるしかない。
その過程でのひとつひとつの話がどれも興味深い。


スポーツノンフィクションの最高傑作かも、とか思う。


また、ブルーウェーブファンである僕的には、木庭氏がスカウトした山梨学院大付属高校出身の投手牧野塁の初勝利のシーンがいい!
牧野は高校時代はせいぜい140kに届くかどうかのストレートを投げる投手だった。それが、プロの世界に入って、夏を迎える頃には、155kを越えるストレートを投げるようになる。その頃、各球団の2軍関係者の間で、「オリックスの牧野を見た?」が挨拶代わりに交わされていたくらい、プロに入ってからの牧野の急成長は驚異的だった。そこまでの成長を木庭氏が予測していた訳ではないらしいが、木庭氏のスカウトとしての眼力を証明するひとつの事例だと思う。

スカウト (講談社文庫)

スカウト (講談社文庫)