ファインダーの中には何が見える

思いついたことをつらつらと書きます。

デイジー

学生の頃、夏休みに帰省した僕は船越英一郎と毎日のように遊んでいた。あっちこっちで飲んだりナンパしたりしたあと、必ず最後に寄った店。飲み屋街にある雑居ビルの6階。とても小さなスナックで南こうせつ似のマスターがいつもニコニコしてカウンターに立っていた。
その店はカラオケが唄い放題だった。船越英一郎も唄っていた。曲は必ず浜田省吾の「丘の上の愛」。

笑顔ひとつで 君はどんな恋でも容易く手に入れた 
 でも誰ひとり愛さず だだのボーイフレンド 遊び相手


君がただひとり心を奪われた
あいつはまだ若く
夢の他には何も持たない貧しい学生


夜毎冷たいベットで夢見る
丘を駆け降りてく夢

結局、その女性は丘の上から降りて来ないで
お金持ちの男性と結ばれた。
そんな唄を船越英一郎はいつも感情が入りまくりで唄っていた。

僕はあの店で何を唄っていたのだろうか。
「おまえあれ唄ってたのじゃなかと?」
「えっなんだっけ?」
ミスチルの『君がいた夏』ば唄ってたと」
僕もきっと思い入れたっぷりで
唄っていたんだろうな。